COPDってどんな病気?

2014/12/21

 特にハードな運動をしたわけではないのに、呼吸が苦しくなって息が切れる。しかし、病気とは考えず「きっと年を取って体力がなくなったせいだろう」と思い込み、不自由を感じながら日々の生活を制限していませんか?生活の質を低下させる息切れ、咳、痰。これらの症状が慢性化しているときには、「COPD」(慢性閉塞性肺疾患)と呼ばれる病気が隠れているかもしれません。思い当たる要注意という人が多いのではないでしょうか。


COPDはたばこ煙を主とする有毒物質を長期間吸入することによって生じる肺の炎症による病気です。主に肺胞系の破壊が進行して気腫型(肺気腫病変優位型)になるものと、主に気道病変が進行して非気腫型(気道病変優位型)になるものがあります


 COPDは、肺胞‐末梢気道‐中枢気道に及ぶすべての病変を包括するものですが、以前は、肺気腫と慢性気管支炎に分けて呼ばれていました。


 COPDの患者数は全世界的に増加しており、2020年までに全世界の死亡原因の第3位になると推測されています。日本で2000~2001年に行われた疫学調査により、40歳以上の成人の8.5%、530万人がCOPDに罹患していることが明らかになりました。一方、調査でCOPDと診断された人の90%が、それまでにCOPDと診断されていませんでした。


 COPDの原因の約90%は喫煙です。主な症状は慢性の咳、痰と労作性の息切れ(体を動かした時に出現する息切れ)ですが、ゆっくりと進行し、典型的な身体所見も重症になって初めて現れることが多いため、早期に気づきにくいことが特徴です。


 重症になると呼吸不全に至り、息苦しさのために日常生活ができなくなったり、かぜなどをきっかけに急に症状が悪化すること(増悪または急性増悪)を繰り返すことになります。


 早期の診断には肺機能検査が不可欠です。禁煙によるリスクの回避と適切な病気の管理により、有効な予防と治療が可能な病気です。

主な原因

COPDの危険因子は、外因性危険因子と患者さん側の内因性危険因子に分けられます。外因性危険因子には、喫煙、大気汚染、職業上で吸入する粉塵ふんじん、化学物質(蒸気、刺激性物質、煙)、受動喫煙などがあります。喫煙はCOPDの最大の外因性危険因子であり、COPDの発症に関与することが立証されています。

COPDを進行させる合併症

COPDと合併しやすい病気は、糖尿病、心臓病、骨粗鬆症、抑うつなどで、これらの病気を合併していると経過が悪く、死亡のリスクも高いことがわかっています。人によっては、肺気腫に肺線維症が合併した「気腫合併肺線維症」も見られます。これは、肺のあらゆるところが壊れて面積が小さくなるもので、酸素を取り入れて炭酸ガスを出すガス交換の機能が衰えて重症化します。肺線維症が合併していると肺がんの発生率も高くなるので、注意が必要とされています。


また、COPDは増悪するかしないかで進行が分かれます。COPDの増悪とは、息切れ、咳や痰の増加、胸部の不快感や違和感などが現れたり、増強したりすることです。増悪は患者の生活の質や呼吸機能を低下させ、死亡のリスクも高めますが、増悪しにくい人では、病気が進みにくいことがわかっています。

症状を改善し、進行をくい止める3つの治療法

 COPDの原因は喫煙。禁煙すれば肺は元に戻るのではないかと思われがちですが、それほど簡単ではありません。たとえば、喘息はアレルギーが原因ですからアレルギー反応を元に戻せば治りますが、COPDには特殊なリンパ球が関わっています。これが増加して、炎症反応を増強する物質がつくり出され、肺や気道が傷つくので禁煙しても病状は進行していきます。そのため、早期に見つけて適切な治療を受け、進行させないことが最も重要です。


 治療の根幹は、①禁煙②薬物療法③呼吸リハビリテーションの3つとされています。症状を軽くすることで社会生活に戻れるようにすることが目標です。たばこを吸っている人は、まずは禁煙です。薬物療法は気管支拡張薬が中心で、β2刺激薬や抗コリン薬などが用いられます。気管支を広げて、空気を通りやすくして症状を改善します。呼吸リハビリテーションとは、肺を動かしている肺の周りの筋肉をよく動かすこと。具体的には、運動療法などを行います。呼吸困難が軽減するなど日常生活の動作が改善されます。自分から意欲的に体を動かし、身体活動を維持する人は、COPDを発症しても生存期間が延長したり、病気を克服できたりすることがあり、最近は、非常に重要な治療の一つと考えられています。


 arucoの利用者様にもCOPDを罹患された方がいらっしゃいます。酸素ボンベを使用している方でも理学療法士や看護師による全身状態の管理を行いながら、安全にリハビリを行うことが可能です。もし、ご自宅で運動する機会を失っている方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度arucoへご相談ください。

ページの上に戻る